私たちは自然に抗う力は持ち合わせないが、上手に折り合う知恵を持っています。
うまく付き合って行きたいところです。
立春を過ぎたとはいえ、暖冬を通り越して春かと思わせる日が続く。信州や関東でも、すでに四月上旬並みにまで気温が上がったところがある。沖縄では一カ月以上早くテッポウユリが咲いたという。
東北の冬も尋常でないようだ。青森では一月の平均気温が観測史上二番目の高さを記録し、秋田では日照時間がおととしの約二倍に達した。山形では今年になって真冬日が一日もない。地方紙のネット上に「暖冬異変」を告げる地域情報があふれる。
去年の今ごろは、東北各地が大雪に見舞われた。今年は、その雪もない。東北でそれだから、関西は推して知るべしだ。
兵庫県内では先月、スキー大会などの行事が相次いで中止になった。各スキー場はゲレンデの雪の確保に努めるものの、暖かさとの格闘はこの先も続く見込みだ。
暖冬の影響は、いろんなところに出ている。全国的に秋冬野菜が豊作だが、供給過剰なうえ、なべ物の需要が減り、値崩れを起こしている。県内にも産地は多いが、たつの市では畑の大根を廃棄した。
もったいない話だ。地球全体に温暖化が進めば、冬場の野菜の供給過剰は今後も起こりうる。その際、産地廃棄しかないのか、真剣に考えるべき課題の一つだろう。
これから春にかけて、水不足や乾燥がさらに進むに違いない。前もって予測して早めに対処することが重要だ。
県農林水産技術総合センターによると、農産物の成長サイクルにも暖冬の影響が出ている。例えば、イチゴはわき芽から出る花房の生育にばらつきが見られ、最盛期を迎えたのに本来の収穫ができていない。
果樹にとって、冬の寒さは重要な意味を持つ。暖かい日が続くと体内に組み込まれたセンサーがおかしくなり、開花時期などに狂いが生じる恐れがある。木が休眠しないため、せん定の時期を迎えたのに作業ができない。そんな問題も生じている。
暖冬がもたらす影響は、目に見えるものばかりではない。長い目で見て農林水産業にどんな変化をもたらすのか。関係機関が協力し、息長い追跡調査が必要だろう。
今冬は北極付近から放出される寒気が弱いことが暖冬の要因とされる。しかし、これだけ暖かい日が続くと、その反動による災害も心配だ。現にインドネシアで大洪水が起き、米国は寒波に見舞われている。偶然だろうが、亥(い)年は関東大震災や阪神・淡路大震災など大きな災害と無縁でない。
暖冬対策に生かせることは少なくないはずだ。